大島事業所トピック№390 カツオ調査の取り組み(漁業調査指導船「みやこ」沖ノ鳥島海域漁業調査クルーズレポート) 

大島事業所トピック№390 カツオ調査の取り組み(漁業調査指導船「みやこ」沖ノ鳥島海域漁業調査クルーズレポート) 

漁業調査指導船「みやこ」(189トン)では、伊豆諸島から日本最南端の沖ノ鳥島までの海域で、電子標識(アーカイバルタグ)を用いたカツオの調査を行っています。

アーカイバルタグとは?

調査では、各種センサーとメモリのついたアーカイバルタグと呼ばれる小型の電子標識(写真1)を使用しています。これをカツオに装着して放流し、再び釣獲(再捕)することができれば、遊泳していた水温、水圧(深度)、照度等の情報を数分単位で得ることができます。これらの情報を解析していくことで、遊泳位置(経路)やカツオが好む海洋環境の解明、果ては漁場予測へと繋がることが期待されています。

この標識の装着には、外科手術が必要になります。釣獲したカツオをすぐに専用の台に載せて、腹部をメスで切開し、タグを体内に挿入。その後に医療用ホチキスで切開部を縫合し(写真2)、再び海へと戻します。揺れる船上で、練習を重ねた職員が30秒程で装着しますが、カツオが弱ってしまわないよう手際よく行うことが重要です。

このように、生物に記録計を取り付け、様々な情報を収集する手法は「バイオロギング」と呼ばれ、近年、動物行動学の分野で注目されています。

   

写真1 アーカイバルタグを装着したカツオとタグ本体

赤点線で囲んだ部分はセンサーの一部

写真2 アーカイバルタグをカツオに装着する作業風景.jpg

写真2 アーカイバルタグをカツオに装着する作業風景

沖ノ鳥島海域をメインとした放流の実績

この4年間に「みやこ」では、合計131尾のカツオにアーカイバルタグを装着し、放流しました。海域別では、沖ノ鳥島海域で70尾、北緯25度海域で3尾、宝永海山で58尾です(図1)。

現在、日本近海におけるカツオの北上経路は、①東シナ海から黒潮に沿って北上する経路、②九州・パラオ海嶺経路、③伊豆・小笠原列島沿いの3経路(図1)とされていますが、途中で戻ってしまう個体がいることもわかってきました。タグを装着したカツオが1尾でも多く再捕されることで、新たな生態が判明する可能性があります。

速報ですが、本年7月に宝永海山で放流した1尾が、その後、漁船により再捕されました。すでにタグを回収し、現在、記録された情報を八丈事業所で解析中です。再捕は希少ですが、この1尾を皮切りに、今後も再捕が続くことを期待したいです。

図1 「みやこ」が放流した年別海域別のカツオ尾数

赤線は放流地点、朱色矢印はカツオの北上経路

・ PDFはこちら 事業所トピックNo.390(カツオの標識放流).pdf

このカテゴリー内の他のページ